今のうちに白骨を立ってしまいましょうか」
「そうして、どこへ行こうというの」
「それはね、一つ、わたしに考えがありますのよ」
「その考えというのは?」
「まあ、お聞き下さい。わたしは少しでも、ここへ来た甲斐があって、第一、先生のお目のだいぶよろしくなったとおっしゃるのを喜ばずにはおられません。それに、わたくし自らも、ここへ来たために、いろいろの学問を致しました、ずいぶん、ためになりました。ですから、白骨へ来たことは全く後悔にはなりません。けれども、もうこのぐらいが、切上げ時じゃないかと思います。今までも、思いがけない人のごたごたがありましたけれど、ともかくも、おたがいに無事で今日まで参りました、この上いい気になって逗留していると、ためにならないことが起るような気がしてなりません。ですから、別のところで、あなたの充分御養生になれるようなところを選んで、それはここよりは、一層静かで、人事のごたごたのないところへ行って、春まで暮してみた方がよいのではないかと、そんな気がしてなりません」
「なるほど……それも一理のある考え方だが、といって、ここを立って、別にいいところがありますか」
「それはあ
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