家とは?」
「瑞巌寺には、永徳と、山楽がありますね」
「あ、そうだ、そうだ」
その時に、白雲がまた興を呼び起して、膝を打ちました。
そうだ、そうだ、松島には、伊達政宗が太閤からもらい受けたという観瀾亭がある。そこには、すばらしい山楽の壁画があるということは、兼ねて聞いている。
畿内をほかにして、あれだけの狩野は他に無い――ある友人は、それを見て来て、あれは山楽というより、永徳と言いたい、いや、自分は永徳であることを確信すると、告げたことがある。松島まで行こう――その永徳を見るために。
永徳は画壇の英雄である。
政治家に秀吉があって、画界に永徳がある。
時代に桃山があって、やはり画家に永徳がある。
画壇においての永徳は、秀吉に譲らざる英雄である。
ということを、白雲は日頃念頭に置いている。相馬には奔馬があり、松島には永徳がある――恵まれたるわが天地なる哉《かな》――行かずしてはおられぬ、相馬より松島まで……
空《くう》を往く天馬の手綱を控えることができないらしい。
四十五
白骨の温泉の一室で、池田良斎と、北原賢次とが、「真澄《ますみ》遊覧記」と
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