、鬣《たてがみ》を振い立つように雀躍《こおどり》しました。
絵になるどころか、馬は天下の画材である。ことに放牧の馬は、和漢古来、名匠の全力を傾けて悔いざる画題だ。
白雲は、天馬のように心が躍る。そこで、白雲は、馬を描いた古今の名画について、気焔を揚げてみたかったのだが、この相手が相手だと手綱《たづな》をひかえて、
「それはいいことを聞きました、相馬は馬の名所でしたね。なお、あの附近に、名物、そのほかに、たとえば、古代の名建築とか、名画を所持している人とか、名彫刻の保存家とかいうようなところはありませんか」
「そうですね、なんにしても東北の北陬《ほくすう》ですから、さのみ名所、名物といってはござらん、まあ、陸前の松島まで参らなければ」
「ははあ、松島ですか」
「松島まで行きますと、かなり天下に向って誇るべき名所も、名物もござるというものです」
「それは、それに違いない」
「八百八島――あれは天然がこしらえた名物でござるが、瑞巌寺《ずいがんじ》の建築、政宗公の木像、それから五大堂――観瀾亭と行って、そうそう、あすこに、すばらしい狩野家がござることを御承知でござろうな」
「すばらしい狩野
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