れはどうも」
 立っている田山に、まあお坐りなさいとも言わない。
 白雲も、ちょっとバツが悪い思いをしている。といって、なにも先方が別段傲慢な態度でこちらを冷淡に扱っているというわけでもないし、また質朴そのものが、挨拶の表示を十分円満にさせないというわけでもないし……そう重い身分の者ではなかろうが、一人はたしかに士分の者、一人もまたそれに準ずるもので、人夫や人足の類《たぐい》でないことはわかっているのに、いかにも捌《さば》けないところがあるようだ。こちらは磊落《らいらく》に出ているのに、先方は妙に警戒性が見え過ぎると感じました。
 はてな、自分では磊落のつもりでも、自分の風采というやつが、この珍客に鬼胎《きたい》を持たせたのだな。そうだろう、無理もないことだ。ただでさえ、あんまりものやさしくは出来ていない風采骨柄のところへ、月代《さかやき》も久しく当らず、この数日、湯につからないのを、鹿島の浦の海風で曝《さら》しにかけたのだから、初対面の人の警戒性を、かなりに刺戟することは無理もあるまい。人間並みの人に言い寄ろうには、ただ人間並みの戸籍を示してかからぬことには、この際、自分というものの
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