とえ豆のような人影にしろ、人命二つの浮き沈みの方が遥かに大事であった。
さあ、両個の運命は、どうなった。
白雲は、いそがわしく、眼を転じたが、幸か不幸か、さいぜんまで見えた両個の人影の二つとも見えない。渺茫《びょうぼう》として人煙を絶することは陸も海も同じようなる鹿島洋《かしまなだ》。
もしや、両虎共に傷ついて、砂に倒れて万事|了《おわ》ったかと地を低くながめやったが、その屍体らしい物は見当らない。
では、黒船に見とれている間に、案の如く、両虎は共に傷ついて砂浜に倒れたところを、無雑作に波が来て、さらって行ってしまったのだろう――あとかたもない。
田山白雲は手の中の珠でも取られたように、なんとなく心に一味の哀愁を覚えつつ、さて、今は全く、ながめやるべき焦点を失い、最初の茫洋たる豪興を回復するまでの間、無意識に砂浜を歩み――足は本能的に南の方、黒船の走って行った方向、決闘の行われていたと同方向に向って、そぞろ歩きの体《てい》でありましたが、やがて砂浜を右にさまようて、またも松原続きの中に入りました。
海を避けて林に入ったのではなく、この林を抜けて、また彼方に渺茫たる海を見よう
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