重大な支障となる。なおまた、このマドロスの処罰と、改造とのために、あたら時間と、脳力とを費さずばなるまい――二重三重の物心内外の不経済。
主として、駒井はそれを今、人物経済上の利害から考えてみて、将来、自分が船によって一自由国に向う門出の重要なる参考でなければならないと考えました。
四十二
鹿島洋《かしまなだ》の波をうつさんとして、そこに踏み止まった田山白雲は、波濤洶涌《はとうきょうよう》の間に、半神半武の古英雄を想うて、帰ることを忘れました。
今日しも、朝まだきより、この海岸を東へ向って、行けども行けども、人煙を絶するのところに、境涯を忘れ、やがて、松林――古《いにし》えは夥《おびただ》しく鹿を棲《す》まわせて、奈良の春日の神鹿の祖はここから出でたという――その松林の間に打入って、放神悠々、写生の筆をとっていました。
やがて写生の筆を休めて、また海に向って歩み、ふと、はまなすの生い茂る、一団の砂丘、その上にのぼって、海に向って一心に弓なりの浜を見ていると、ほとんど、視野の半ばのところに、今日は珍しくも動いているものを認めました。動いているものは、海の波と
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