というものを、両様に感じないわけにはゆきません。
御当人はああして哀号することによって、気分が改悔の誠意を見せているつもりか知らん、同時に同情の念を呼び起そうとつとめているのか知らん、見ている周囲にとっては、いよいよ滑稽と、侮蔑とがあるのみだ。
それにつけても、一人というものの存在が、存在その時には意識に上らなかったほどの影が、立退いてみると、無用の用の大きさの予想外なのに驚かされることがある。
田山白雲がおりさえすれば、ただ存在するその事だけで、これら一切の、悲喜劇は起らなかったのだ。田山が存在することによって、マドロスの放縦が芽を出すことができない。よし芽が出ても、伸びることができないのだ。人間には、ただ人間としての力の存在のほかに、その雰囲気の力がある――というようなことを、駒井が痛感せずにはおられないのです。
のみならず、白雲が存在することによって、マドロスの不検束に強圧が加わり、その放縦の芽が伸びる力を失うのみならず、このふしだらの天才の有する、よい方の能力をも充分と使用することができるのだ。
これが今は二つながら駄目だ――せっかく、企てた炭坑の探検も、これによって
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