身をひそめていたやつが、空腹に堪え兼ねて、人里へうろつき出したところを、引捉えられてこの運命ということらしい。
 物置へ抛り込まれてなお、マドロスが盛んに泣き叫んでいるのを、こちらの室では、もゆる子と茂太郎とが聞きながら、痛いような、くすぐったいような、バチだから仕方がないというような、でもかわいそうねというような、殿様に頼んで縄を解いて上げましょうかというような、いいえ、それにしてもまだ早いわ、もう少し泣かしておきましょうよというような表情で、面《かお》を見合わせて語り合っている。
 ところがまもなく、米飯と、野菜と、魚肉とを、一つの皿に盛り上げたのを持って、物置へ入って行く金椎《キンツイ》を見る。
 そうして、両手を縛られて、絶泣しているマドロスの面前へそれを持って行って、箸でいちいちハサんで、マドロスの口へあてがっているところの金椎を見る。
 親鳥から餌を与えられるようにして、金椎から箸で突き出される食物を、雛が食べさせてもらうように、パクついているマドロスを見る。
 その食物をパクつく間のマドロスは号泣していないのを見る。食物をパクつく間にしゃくり上げるマドロスを見る。その瞬間
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