わせたように箸を置き、フォークを捨てて立ち上りました。
 こうして、村人や造船所の連中に、ひっぱられて来たマドロスが、庭に引据えられて、駒井の訊問を受くるの段取りとなったのは間もないことであります。
 庭に引据えられたマドロスは、なお盛んに泣いている、大声をあげて泣いている、本当の手ばなしで泣いていて手がつけられない。さすがの駒井もその醜態を見て、空しく失笑するのみでした。
 駒井は、許すべしとも、許すべからずとも言わず、造船所連は一応マドロスを殿様の面前に引据えてから、窮命の意味か、禁獄のつもりか知らないけれど、そのまま、物置の中へ抛《ほう》り込んで置いて、一同は引上げてしまいました。
 縛られたまま、物置の隅に投げ込まれたマドロスは、そこで、相変らず大きな声をあげて泣き叫んで、ゆるしを乞うている。ずう[#「ずう」に傍点]体に似合わない泣き虫。
 引捉えて来た造船所連の告げるところによると、この泣き虫は今早朝、ある漁師の家の附近にうろついているところを、大勢してとっつかまえて、必死に抵抗するのを、ようやくのことで縄にかけて来たのだとのこと。
 けだし、しかるべき山中の洞穴かなにかに、
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