手の甲に、膏薬《こうやく》のはってあったのを、お肴《さかな》を取ってくれる時に認めたものらしい。
「どうしてでもないのよ、いいからおあがりなさい」
「でも、お嬢さんの蒲団の上にも、血のついているのを、さっき、わたしは見ちまったから、変だと思ったのよ」
「御飯をいただく時に、そんなことを言うものじゃありません……」
 その時、窓の外が急に、ざわめき出したのを、見やると、一群の人数が罵《ののし》りながら、何者かを擁《よう》してこのところへ入って来るのを認める。
「あれ、マドロスさんが……」
 なるほど、多数の中に揉《も》まれ揉まれて来るマドロスの姿は、誰が見てもそれに相違ないが、その取扱いっぷりの荒っぽいこと。
 マドロスは、高手小手にひっくくられている。それを、袋叩きにぴしぴしとひっぱたきながら、多勢で引摺って来る。
 この毛唐め、図々しい毛唐、泥棒根性の毛唐、こんな奴は痛しめろ! というような声で、引摺りながら、いい気になって、ぴしぴしとひっぱたいている。
 ぴしぴしとひっぱたかれる度毎に、
「御免下さい、ゴメン、ゴメン」
といって、泣き叫ぶマドロスの声を聞く。
 食卓の一同は、言い合
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