ですけれど、よくよく考えてみると、かわいそうなところもありますから、許して上げていただきたいと、そのことを殿様にお願いに出ようか知らと思っておりました」
「うむ」
「あの時は、わたしも叩き殺してやりたいほどに憎らしいと思いましたけれど、考えてみれば、あれも、あの人の一時の出来心ですから、許してやっていただきとうございます」
「うむ、それは、どうでもお前の気の済むように、わしにはわしの了見がある」
 こう言って、駒井は重い足どりで、この室を出て庭の方から一廻りして、自分の部屋へ戻って来ました。
 あの女が許せ! という意味がよくわからない。
「わたしは、今までに七人の男を知っているのよ、なかにはわたしの好きな人もあったし、わたしをヒドい目に会わせた人もあるけれど……欲しがっているものを、くれてやるのはいい事じゃありませんか、物を施すのがいい事なら……慕いよる男という男に、情けを与えてやることも、悪いという理窟はないんじゃありますまいか。ああ、わたしは七人に限らず、誰にでも、この身体《からだ》をやってしまおうか知ら、お女郎は身体を売ってお金を取りますが、お金を取らないで、人に情けを施すこと
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