を最寄りとしては、常陸、磐城の海岸筋の鉱脈に当りをつけるのが順当だと思っていたのです。
しかし、これは罷《まか》りまちがえば、外国艦から融通を受ける道もある。僅か一艘の手製の船に使用するために、わざわざ一つの炭鉱をさぐり、それを採掘してかかるまでのことはあるまいとは思っているが、さりとて事ここに至ると、駒井の研究心は、外国物資の融通だけでは甘んじきれなくて、後人のために、この際、附近の炭山について、若干の研究を残しておきたいという好学心も手伝ったものでしょう。
そこで一つ都合のよいことには、このマドロス君が前生涯に一度、炭坑の坑夫として働いていたことがある。メリケンのペンシルヴァニアというところで、ほんの僅かの間ではあったけれども、炭山の経験があるということを耳にしたから、この男を引きつれて明日にも、常磐の山に鉱脈をさぐろうと心がけていた際であります。
困った奴だ――人間はごくいいのだが、ちょっと眼をはなすと、とめどもないだらし[#「だらし」に傍点]なさを曝《さら》す男、危険性はないが、それでも眼のはなせない男。
こういう際には、田山白雲のことを駒井がかなり痛切に思い出す。白雲
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