れないわけにはゆきますまい。
 その時分に、時計の二時が鳴る。
 ああ、もう二時だ、丑三時《うしみつどき》だ、寝なければならぬと気がついた時、ふと思い出したのは、酔いどれのマドロス氏のこと。
 捨てておいても大事はないと信じているが、それでも気にかかる。
 あいつは憎めない男だから、傍へ置いてみたが、今は単に愛嬌者としてでなく、実用の上に無くてはならぬ男になっている。
 彼は、下級労働者ではあるが、外国の事情と、航海の知識等については、経験上から珍重すべきものを持っている。本は読めないが、言葉を研究するには、悪い参考とばかりはならない。それのみならず、船乗りとしての生活の前には、到るところを渡り労働者として歩いているから、何かと経験もあり、小器用でもあって、時には信じ過ぎ、買いかぶって苦笑いに終ることもあるが、大体に於て、この男から得るところのものは、決して少なくないことになっている。
 現に――すでに、機関の方の目鼻があいてみると、次に当然|来《きた》るべきものは、燃料の問題でなければならぬ。
 そこで、駒井甚三郎は、一方天文を研究して船の航路学の準備をすると共に、地質をたずねて、石
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