って歩きなさい」
三十八
提灯《ちょうちん》を持って、先に立った清澄の茂太郎が一丁ほど進んだ時、道のまんなかに大いびきで寝ているものに、ぶっつかって、
「おや」
提灯をさしつけて見るまでもなく、それはマドロス氏です。
「マドロスさん」
茂太郎は、道に横たわる人間の塊《かたまり》を小さな手で押してみたけれども、ほとんど正体がありません。駒井甚三郎も提灯の光で、マドロスのずう体[#「ずう体」に傍点]を見て困ったものだと思いました。
それはもとより、生命に別条があるのではなく、マドロスは泥酔したために、この通り正体もなく地上に眠っているのです。
人間は、少し足りないくらいで、危険性は持っていないが、隙《ひま》があれば酒を飲みたがり、その酒は地酒でも、悪酒でも、焼酎でも、振舞酒でも、自腹でもなんでもかまわず、飲ませる者があり、飲む機会さえあれば、かぶりついて辞するということを知らない。酔うと、外国人としての勝手違いと愛嬌がいよいよ発揮されるものだから、それを面白いことにして、とっつかまえて、強《し》いる者もある。
こんなにして、途上に酔いつぶれて、駒井を困らせ
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