その意味はわかるまいが、この子供は、いつも尖端《せんたん》を歩きたがる子供である。いや、自分は尖端を歩きたくはないが、ある力があって、どうぞして、この少年に尖端を行かせようと、押し上げているもののようにも見える。さればこそ、山に入って悪獣と戯れ、沢に下って毒蛇と親しむことを得意とするこの少年が、両国橋畔の、人間という群集動物の最も多く集合する圏内に曝《さら》されたりなんぞする。
 それはそれとして、行き行きて止まるところまで行かねばやめられないこの少年は、狭い房総の半島にいて、どちらに行っても海で極まってグルグル廻り、廻りそこねてついに海の領分にまでいったん陥没するところまで行っている。山に於ては、もう房総第一の高山を極めつくしている。旗竿でもなければ、もうこの天地にいて尖端を極めるところはなかろうと思われる――降りろといっても、急に降りられない立場にいることも無理はありますまい。
「ね、おとなしく降りておいで」
「はい」
 降りるよりほかに道はないと見きわめた時、スルリと降り立ってしまいました。
 下に降り立つと共に茂太郎は、
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