まった、三ツ目錐の殿様、三ツ目錐のお邸」
異議なく、ここに新名称が選定される。口さがなき根岸わらべによって、神尾主膳は、三ツ目錐の殿様の名を奉られてしまう。こういう名称は、本人が聞いて、喜んでもよろこばなくても、禁じてもすすめても、それの流行は止むを得ない。
子供たちも、さすがに、殿様自身に聞えるようには、選定名称を呼びかけはしないようです。
三ツ目錐の殿様は、日を期して、これらの童《わらべ》共のために門戸を開放するのみならず、時としては、座敷の上まで、その闖入《ちんにゅう》を拒まないことがある。
子供らは、よい遊び場所を得たと思っている。見かけは怖いおじさんが、存外以上に甘いおじさんだということを見出してきた。その芝生の上は相撲競技、凧あげに持って来いだし、座敷へ上り込むと、この子供たちとしては、武器や、掛額や、相応見るものがあり、碁盤、将棋盤の弄《もてあそ》ぶ物もあることを見出してきました。
五人が六人――十人――二十人と殖えて、三ツ目錐の屋敷が、界隈の子供たちの倶楽部《くらぶ》になってきたことをも、主膳は一向とがめる模様がありませんでした。
だが、ここに繰返すまでもな
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