、そらさぬ愛嬌を以て、ここへ現われたのには、さしものお銀様にとって意外の限りでないことはありません。
「だしぬけに、あがりまして、申しわけがございませんが、お嬢様が、こちらにいらっしゃると聞いて、あんまり、おなつかしいものですから、つい、こんなに、ざっかけに押しかけて、お仕事のおさまたげをしてしまいました」
息をはずませて、お角がこう言いました。これに対して、お銀様に悪意を表するの機会を与えないほどの呼吸でありました。お銀様とても、この意外は強《し》いてつむじを曲げるほどの意外ではなかったと見え、
「ほんとに、親方、珍しいことですね。どうして、いつ、こっちへ来ました。まあ、お上りなさい」
といって、お銀様は、あたりを取りかたづけてお角を招きます。
「まあ、お上り……」
といって、この暴女王から特権を与えられたものは、あの間《あい》の山《やま》から流れて来たお君という薄命の少女のほかには、ちょっと類例を見出し難い記録でしょう。
それを、ハニかんだり、辞退したりするようなお角ではありません。
「では、御免下さいませ」
ここで、お銀様とさしむかいになると、お角はまた打ちつけに、
「お嬢
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