性たち。
大奥の江島は、実は月光院の犠牲であるという意味でお銀様は、流された江島よりは、本尊の月光院の名を憎んで、悪女の中に入れてしまっているらしい。
それと、生島新五郎の弟大吉を長持に入れて、奥へ運ばせて淫楽に耽《ふけ》ったという尾州家の未亡人天竜院もまた、悪女として、お銀様の供養をまぬがれることはできないらしい。
三十六人の情夫を持ったという某《なにがし》の俳優の妻も、許した限りの男の定紋をほりもの[#「ほりもの」に傍点]にして肌に刻んだ莫連者《ばくれんもの》――
蛇責めにあったという反逆の女性。
すでにかくの如くして、歴史、文章、記録、草紙、物語の中より、一通り検討しつくして筆端にのぼせてしまったお銀様は――ついには物の本にあり、或いは伝説にあって、その実在を疑われるほどのものまでも、ようやく取入れてしまったらしい。
そこで、今度は、自分の身辺のことに及んで来る。自分の身に最も近いところの、悪女の面影を思い浮べ来《きた》ると、
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「悪女大姉」
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この名が、先以《まずもっ》て、筆端に押迫って来る。
染井の化物屋敷の、うん
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