落ちた女性の名。
 尊貴の身にして、やはり嫉妬のために焼き亡ぼされ給わんとしたその御名。
 小碓命《おうすのみこと》に恋を捧げて、その父を売った梟帥族《たけるぞく》の娘。
 蛇形《じゃぎょう》の者と契《ちぎ》って、それを悔い恥ずるの心から、箸をほと[#「ほと」に傍点]に突き立てて自殺したという姫の名。
 蘇我氏の大逆の裏に拭うべからざる大伴《おおとも》の小手古《こてこ》の姫の名。
 日本武尊《やまとたけるのみこと》を伊吹の毒の山神の森に向わしめた尾張の宮簀姫《みやすひめ》の名。
 藤原の薬子《くすこ》の名も見える。
 額田女王《ぬかだのおおきみ》の名も、悪女の神に入れてあるらしい。
 石河楯《いしかわのたて》と姦したがために、日本に於てはじめて磔刑《はりつけ》というものにかけられた池津姫《いけつひめ》の名もある。
 夫を外征にやって、その間に帝《みかど》に奪われた田狭の妻――の名もある。
 延喜天暦の頃の才媛にも悪女が多い。
 頼朝の政子も――秀吉の淀殿も――家康の築山殿も、千姫も、みんなお銀様は悪女の名に編入しているらしい。
 ずっと近代になって、延命院の美僧のために犯されたという女
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