る史的根拠と、お銀様独断の順序が、一糸乱れずに存在していることはいるらしい。
昂奮と、反抗は、ただ表情として現われるのみで、仕事の事務としては、いささかも、狼狽と不規律は存していないようです。
まず、そのお銀様の筆端にのぼった最初の人の名から調べてみましょう。
六寸に切った木片の第一には「磐長姫《いわながひめ》」の名が書き記されてあることを発見した時に、これは、お銀様として、さもありそうなことで、いささかも人選を誤っていないことを、誰もさとるに違いありますまい。おそらく神代の日本婦人として、磐長姫ほどに、お銀様に共鳴する婦人は無いかも知れません。
妹姫、木花咲耶姫《このはなさくやひめ》の名にし負う艶麗なるにひきかえて、極めて醜婦であった磐長姫――瓊々杵尊《ににぎのみこと》から恋せられた妹姫の添え物として、父から贈られたこの醜女の磐長姫《いわながひめ》。
その美なるを以て妹姫はかぎりなく寵愛《ちょうあい》せられ、その醜なるが故に姉姫は尊からつき返された、そうして笠沙《かささ》の宮を逐《お》われた醜い姉姫は、懊悩《おうのう》と、煩悶《はんもん》と、嫉妬のあまり、米良《めら》の山の
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