何を調べる?
 多分、近き将来に竣工すべき、この悪女塚のための施主として、その塚に祭るべき悪女の因縁と、経歴との考証に取りかかっているのでしょう。悪女塚の亡霊の主を、書巻の間から求めようとしているのでしょう。
 まあ、見ていてごらんなさい、あの通り六寸に切った塔婆形の小木片に向って、いちいち、その書巻の間から探し出した亡霊の主の名前を、書きとめているではありませんか。
 また、その一枚一枚を書くごとに現われる、あの面の色――というよりは、覆面の下から浮び出でるところのあの箇々の表情をごらんなさい、一種の痛快なる反抗に、筆のおののくのを感じませんか。たまらないほどの肉感的昂奮のために、眼の色が燃え立つのを認められませんか。
 こうして、お銀様の周囲には、あらゆる参考書と、それから選び出され、或いはそれを聯想して浮び出でた人名が、筆に伝わって、六寸の小木片の上に走ります――
 いったい、かような異常な昂奮によって、お銀様に選び出されて、その筆端に載せられている、有縁無縁《うえんむえん》の三界の亡霊というは果して何者?
 それは狂熱的、昂奮的、反抗的であることは勿論だが、そのうちに、冷静な
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