ございますが、それでもございません。染井の仙人堂には……」
「そんなものじゃありませんのよ、わたしの出鱈目《でたらめ》よ、強《し》いて名をつければ、悪女様というんでしょう」
「アクジョ様でございますか」
「ええ、仮りに悪女様とつけておいて下さい。親方、ひとつこれを丹念にこしらえ上げてみて下さい、もう立てるところは、ちゃあーんときまっていますから」
「なるほど――」
怖る怖る手に取り上げて、まぶしそうに老石工はその絵像をとって、つくづくと打眺めました。
巨大なる蛸《たこ》の頭を切り取って載せたように、頭頂は大薬鑵であるが、ボンの凹《くぼ》には※[#「くさかんむり/毛」、第4水準2−86−4]爾《もうじ》とした毛が房を成している。
巨大な、どんよりとした眼が、パッカリと二つあいていて眉毛は無い。
鼻との境が極めて明瞭を欠くけれども、口は極めて大きく、固く結んだ間へ冷笑を浮ばせている。頭から顔の輪郭を見ると、どうやら慢心和尚に似ているが、パッカリとあいた眼は、誰をどことも想像がつかない。
だが、そのパッカリとあいた、力のないどんよりとした眼が、見ようによっては、爛々《らんらん》とか
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