を屈請《くっしょう》して、施行と供養を催して、自他の良心を欺かんとしたあの唾棄すべき喜劇。滑稽とも、悲惨とも言い様のないほどに、厭悪《えんお》を感じているのは事実です。
祖先以来、積み蓄えた金銀財宝を七日の間、あらゆる人に施行してみたところで、それが何だ。
ことにあの気ちがいじみた、まん円い坊主が、力自慢をこれ見よがしに、あの木柱をかついで来て見せて、俗衆をあっといわせ、その図を外さず、わざと自分の握り拳かなにかを振りかざして、グッと自分の口中へ入れて見せてのしたり[#「したり」に傍点]顔。
虫酸《むしず》が走るではないか。父は手もなく、あの山師坊主に乗ぜられているのだ。わが藤原の家に起り来りつつある多年の矛盾、撞着、滑稽、紛糾、圧迫、争闘、それが膿瘡《のうそう》となり、癌腫《がんしゅ》となって、今日まで呪われて来た報いが、あんな坊主にわかってたまるものか。あの坊主の、あんなに見え透いたお芝居で、この悲喜劇の幕が切れるものなら、切ってごらん。
あの木柱は、あれは何です。
あれをかついで来た、あの気ちがい山師坊主の怪力とやらが、そんなに有難いものですか。
牛や馬が無いじゃある
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