まいし。
 それを、仔細らしく、あの木柱へ筆太に書き立てたあの文句は何です。
 そうして、仔細らしい文句を、人を食ったような、まじめなような、物々しい気取りで書き納めて、それを押立ててその下で、伊太夫はじめ一族が参列の施餓鬼か、施行か知らないが、その物々しさと、あの坊主の悪ふざけ。藤原の家の財宝を、わがもの顔にふりまいて、あまねく一切に慈悲善根を衒《てら》う憎々しさ。
 それを、委細かしこまり上げて、いちいち、渇仰尊信して、命《めい》これ従うばかばかしさ。あんな間抜けのお芝居で、この宿業とやらが救われ、この亡ぼされた魂とやらが浮べたらお気の毒。
 滑稽の沙汰《さた》だ。まさに百分の嘲笑に価すべき振舞だ。
 その滑稽と、嘲笑の的となって残されているのがあの木柱ではないか。卒塔婆《そとば》とかなんとかいう人もある。自分の眼から見れば、慢心坊主という山師坊主が、わが藤原家を愚弄《ぐろう》に来たその記念として残されているものだ。
 白々しい、おかしらしい、癪《しゃく》にさわる――
 お銀様は、慢心和尚という坊主を快からず思っている。あの時の施行供養を、緞帳芝居《どんちょうしばい》も及ばない愚劇
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