《てんめん》する。駒井の家に引取られて、殿の寵に溶けるような思いをしているかと思えば、むらむらとわが魂が戦《おのの》く。
 柔順な、純真なあの子を、わが心のひがみから、あまりにも虐げ過ぎたと自覚した時には、たまらない悔恨に責められる。
 お君を想い出して、次に竜之助のことに及ぶと、お銀様の全身の鱗が逆立ってくる。そのもだもだした、いらいらした風情で煽《あお》られると、居ても立ってもいられなくなる。
 その時は、どうかすると、眼をつぶって、高いところから急にかけ下りることがある。
 肉の中にうめく、八万四千の虫が、肉の中でいら立つと見える。
 たまらない。その時は、夢中に馳け出して、やっと踏みとどまったところもまだ高い。もしそのところが断崖であったら、その肉体は砕けてしまったでしょう――
 平地に至るまでには、自分の屋敷へ帰るまでには、まだまだ多分の距離がある。そこで、踏みとどまったお銀様は、またぐったりと身を落して、草原の上から、遠くつづく、わが家の森を見る。
 山も、森も、水も、藪《やぶ》も、見渡す限りは自分の家の屋敷内である――ここは、過ぐる夜、弁信法師と二人で、わが家の焼ける炎を
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