うだ、それも無理は無《ね》え、それから後のことをお前は知らねえのだ。おいらは助かったんだよ、尾上山《おべやま》から突き落されて、一旦は死んだが、助ける人があって、息を吹き返したんだぜ。それをお前は、本当に死んだものと思いこんでいるんだろう。助かったんだよ、助かって、そうして今まで生きていたんだ、今まで生きているうちには、ずいぶん辛《つら》いこともあらあ――」
 この弁明が、意外に利《き》いたらしいので、娘が面を上げ、
「ほんとう――」
「ほんとうだとも、話せば長いけれど、盗みもしねえのに、盗人《ぬすっと》だなんて人違いでお処刑《しおき》に逢って、ほら、尾上山の上から突き落されたには落されたけれど、人に助けられちまったんだ。その人というのは、ほら、お前も知ってるだろう、船大工の与兵衛さんと、お医者の道庵先生でね、その先生のおともをして、おいらは昨日、こっちにやって来たばかりなんだ」
「ほんとうなの、友さん」
「ほんとうだよ、ほら、幽霊じゃねえや、足があるだろう」
 そこで、米友は、また二三度飛び上って、足のあることの証明をして見せました。
 娘は笑いませんでした。笑わないけど、恐怖は早く
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