まり、つきつけられた米友の面《かお》を見まいとして、両手で自分の面をかくします。
「ところが、生きてるんだよ、この通り、生きてるんだ、間違いはねえのですからね、よっちゃん、そんなに、むずからねえでもいいや、正《しょう》の米友だよ」
「いいえ、わたしの知ってる米友さんは、たしかに死にました」
「ちぇッ、だって、当人がここにいて、生きていると言ってるじゃねえか」
「そんなはずはありません、友さんは死んじゃったのです、お前さんは別の人か、そうでなければ、米友さんの幽霊に違いありません」
「ちぇッ――別の人がおいら[#「おいら」に傍点]だなんて言うかい、ニセモノをこしらえたって、ニセモノ栄《ば》えがしねえじゃねえか」
「放して下さい――怖いから」
 これはホンの一瞬時の出来事でしたが、この辺に至って第三者が承知しません。
 第三者は皆、米友を以て、兇暴性を帯びた色きちがいかなんぞと勘違いをしていないものはない。娘を引離すより先に、米友を手ごめにかかりました。
 その時、米友の頭脳《あたま》にハッとひらめくものがあったのは
「よっちゃん、お前、ほんとうにおいらが死んでると思ってるのかい。そうだそ
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