ゃる通り、行手にこのような大きな山があっては、越そうにも越されませぬ、取急いで、何とか、お取捌き下さい」
「はっ、はっ――恐れ入りました、至急に地ならしを仕りまする」
 新元服の本客に劣らない、振袖姿の美少年の生意気さ――道路の上に指さして、上役が下僚を叱るような態度で、きめ[#「きめ」に傍点]つけているのが、
「奇妙奇妙」
 道庵には奇妙だが、米友にはむしろ奇怪千万の挙動に見られます。
 どうも、両者の詰問を聞いていると、いずれも、せっかく、招かれたから来てはやったが、途中に山があって、通れないということの抗議に帰着されるらしい。
 ただ、これを新元服は突袖で言ったが、前髪立ちは、振袖の袂を翻して、鮮かに地上を指さしながら言っているだけの相違です。
 恐縮の額に手をおいて、振袖に指さされた地上を、お世話人と、お取持が見つめて、いよいよ恐縮している。その指摘の場所をよく見れば、拳大の石が一つ、路面に頭を出している。
「このような大きな山、薩陀峠《さったとうげ》や、宇津の山道ならば、馬駕籠でも越せましょうが、これは、越すに越されぬ大井川と同じこと、至急何とかお取計らい下さい」
「委細、心
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