いました。
「はっ、恐れ入りました、万事行届きません、では早速、山を取除かせて、道を平かに致させますでございます」
「急いで、お取りかかり下さい」
「委細心得ました」
お取持が、扇子をパチパチさせながら、狼狽《ろうばい》ぶりを見せると、取囲む見物がドッと笑う。
「奇妙奇妙」
道庵までが、悦に入って喝采する。米友にはわからない。
この若い奴――水々しい新元服の横柄なこと――いま、聞いていれば、せっかく、お招きを受けて出て来たことは出て来たが、行手に山[#「山」に傍点]があって行けないと言ったようだが――山[#「山」に傍点]とは何だ、坦々たる平原都市の大路ではないか、山[#「山」に傍点]と聞いたのは聞き違いとしても、その前路になんらのさわりも無いではないか。
そうすると、またお世話人と、お取持らしいのが両三名出て来て、仰山に、恐れ入ったふうをして、ペコペコすると、今度は、新元服に附添の、まだ前髪立ちの美少年が、振袖の袂《たもと》を翻して地上を指さしながら、屹《きっ》となって、ペコペコのお取持に向い、
「御案内によりお相客として、われらも罷《まか》り出でましたが、御正客の只今、おっし
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