「はいはい」
「万松寺……なるほど」
「稚児様の時分ですと、一段ですが、今はあんまり風情がございませんけれど」
 そこで三人は、また天守の一層を下る。
 下りながら、さすがの道庵も、ちょっと考えさせられました。
 自分が打ち出した肥後の熊本という問題は、米友の頭では問題になりませんでしたけれども、横合いから、それを受取った人が、かえって自分に問題を打ちかけたことになる。
 お数寄屋坊主が、委細のみ込んで反問した「ばんしょうじ」の符帳がどうしても道庵に解ききれない、その時は鸚鵡返《おうむがえ》しに「ばんしょうじ」と、こちらものみこみ顔に受取りはしたものの、前後がはっきりしていないのです。
「じ」という音が示す通り、寺の名には相違ないと判じたが、寺の名であってもなくても、それが肥後熊本と何の交渉がある。察するところ、この先生はこの先生で、また自分の言うところを聞きそこねたな。そうでなければ、穿《うが》ち過ぎて、こちらの頭にない取越し判断を加えてしまった。
 まあ、仕方がない、なるようにしかなるまい、万事、この坊主頭に任せておいてやれ、という気になりました。
 そうして、道庵は、また一層の段
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