、ついに嘔吐《おうと》をはじめてしまいました。
兵馬は、二人をなだめる役に廻り、
「どうだ、これで実証が出来たからひとつ、下りてみようではないか」
「いやいや、あんな奴の通った路や、汚した滝壺なんぞ、見たくも無《ね》え……」
噛んで吐き出すように丸山がいう。
「白骨で聞いた尺八と、あの神主めの面《つら》を見ると、生命《いのち》を削られるようだ」
仏頂寺が、踏んで蹴飛ばすように言う。それを兵馬は笑止《しょうし》げに、
「いや両君、君たち、もう少し深くつきあって見給え、あの神主はいい人間だよ、行《ぎょう》ばかりじゃない、なかなか人間味もあってね。世間も渡っているから、諸国の地理、人情、風俗にわたっていること驚くばかりだ――それで言うことが徹底して、往々聖人のいうようなことを言い出すよ――白骨であの神主に逢ったことが、拙者の今度の旅の、第一の獲物《えもの》であったかも知れない」
「ペッ、ペッ、ペッ」
「ペッ、ペッ、ペッ」
仏頂寺と丸山は、兵馬の神主讃美の言葉を聞くさえ、堪えられぬもののように、再び嘔吐を催すのを、ペッ、ペッと唾を吐いて、ごまかすと共に、充分に軽蔑の意を表し、併せて、兵
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