言い出して、迎えの者をてこずらせたということ。
 そのうち、男妾の浅公が首をくくって死んでしまうと、まもなく、後家さんが無名沼《ななしぬま》に落ちて溺れ死んだ、つまり魂《こん》に引かれたのだ。
 少なくとも、この二つの幽霊は、白骨の温泉の宙宇《ちゅうう》にさまようて浮べないでいる。
 それから話がハズんで、あの淫乱後家の淫乱が、男妾の浅公にとどまらないということ――相手嫌わずだったが、突っぱなすのも上手で、存外ボロを出さなかったが、噂にのぼったところでも、あれとこれと、これとあれ――兵馬には聞くに堪えないほどの事情を、右の四十男がズバズバと、すっぱぬいて聞かせました。
 とても大胆な、すっぱぬき方であったけれど、槽中の若夫婦までが、あんまり恥かしい顔をせずに聞かされていたことほど、淫乱後家の淫乱ぶりは猛烈で、それが、その後家さんにとっては常識でもあるかのように受取られるほど、徹底していたようです。
 兵馬も、その話を聞いて呆《あき》れました。女というものは、それまで大胆になり得るものか、男というものは、それまで無抵抗であり得るものか、歯痒《はがゆ》い――とも思ったり、そこまで赤裸になれ
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