として、明るい気分の湯に浸っているのとは、周囲も、気分も、全然違い、ここへ来て見るとはじめて、たしかに白骨には何かいたという気分がしてならない。あの短笛の音も変じゃないか。あの娘――あの冬籠りの人々――二階から三階にわたる陰気なる夜の音。
上から射す初冬の光線は極めて明るかったが、その明るさも、いま考えてみると杲々《こうこう》とかがやき渡る太陽の光の明るさではなかったようだ。白骨の月夜は名物ときいたが、月の光が昼間まで照り残っているということはあるまい。
さりとて、鐙小屋《あぶみごや》の神主殿の面《かお》が、白日の下に、明る過ぎるほど明るかったと思うのも、ものの不思議。
やはりお化けが出なかったかと言われて、はじめて兵馬は物《もの》の怪《け》に襲われた心持で、
「ははあ、白骨にはお化けが出るなんて、そんな噂《うわさ》があるのですかね」
「ありますとも、もし……出なけりゃ不思議なもんだと、こっちではみんな、そういっておぞけをふるっておりますよ」
これは湯槽の中の輿論《よろん》のようで、この地では誰ひとりとして、白骨にお化けが出るということを信じないものはないようです。
「そうでし
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