、集まらない人も、問題がその音色に集まったということは、あの短笛が世の常の俗曲を吹かなかったというばかりではない、集まっている者の大多数が、お神楽師《かぐらし》を名乗るくせ[#「くせ」に傍点]者であっただけに、物の音色について、かなりやかましい耳を持ち合せていたらしい――そこで問題が紛糾《ふんきゅう》して、やや、悩ましいものにまでされている。

         十七

「あれは、老人や、女子供の吹く音色じゃないよ。そうかといって、うらぶれた通り一遍のこも僧[#「こも僧」に傍点]の歌口でもない、いやに人を悩ます吹き方だ」
と一人が言ったことがある。そうすると他の一人が、
「ありゃ、女殺しの吹く笛だよ」
と口を出したものだ。その女殺しと言ったのは誰だったか知らんが、つまり、鈴慕《れいぼ》をよく聞きわけて、音に対して、たしかに見識をもっていた一人、北原ではなかった、村田でもなかったし、池田良斎ではなかったし、今、その誰だったかは、ちょっと記憶に無いが、しみじみと鈴慕の曲に聞き入りながら、あれは女殺しの吹く笛だよ、と言い捨てたものが確かにありはあったのである。
「うむ――なるほど」
と一座も
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