、それを承認したかのように、力を入れてうなずいて、なお、その曲の赴《おもむ》くところを終りまで聞いたことがあります。
「女殺し――」といったのは、どういう意味かよくわからない。誰も、それを押して問う者もなかったが、一座がそれを茶化した意味にも、冷かした意味にも、嘲《あざけ》り笑った意味にも取らなかったことは事実です。
それ以来、お雪ちゃんの看病しているという大病人が、老《お》いぼれた、血の気のかれきった木石ではなく、何か、そこに解けきれない、たんまりしたものが滞っているような歯痒《はがゆ》い気持を、一同に持たせてしまったことも事実でありました。
お雪ちゃんの、肉身の祖父とか、父母とかいう人では無論ない、男性とすれば、叔伯系の尊族――もう少し近く持って来れば、肉身の兄ではないか、というような噂《うわさ》が、ちょいちょい話題に上ったこともないではなかったのです。
だが、その後は、鈴慕の音色が時あって、不意に起り来《きた》ることはあっても、それは一座会同の席の場合に、聞き合わせることは滅多になかったから、箇々に、離れ離れにこそ、あの音色を問題にしたり、多少の悩みを覚えたりしたことはあっ
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