ところばかり、まだ誰しも御無沙汰《ごぶさた》をしていたようだ、それじゃ済むまいというわけでもあるまいが、ようやく、こちらから押しかけてみようという口火をきったのは、我々の方で今日が初めてだろう。それが今更のように不思議ではないか、そんなことが改まって、いまどき切り出されるようになったことが、おかしいじゃないか」
「それは遠慮というものさ」
「遠慮とはいうけれどもね、若い娘っ子をめあてに、接近をしようなんていうことこそ、おたがいに遠慮をしなけりゃならんが、お客同士の気分で行ったり来たりする分に、何の遠慮がいるものか」
「いや、そのことじゃないのさ、お雪ちゃんの傍には大変に重い病人がいるとのことだから、それで皆が遠慮していたというわけだろうじゃないか」
「なるほど――考えてみればそれだな、それが遠慮の第一理由であったかに思われるが、それにしても見舞に行って悪いということも、見舞にも来てくれるなとも言われなかったはずだ、どちらにしても遠慮が少し過ぎていたように思う、それが今日は、徹底されたようなわけだから、これから、君、ひとつ、二人でお雪ちゃんを驚かそうじゃないか」
「それもよかろう、だが、
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