とみなされちまいますからね。文字の威力よりも、習慣の惰性《だせい》が怖ろしいということになります」
村田が、一応こんな弁解を試みたことだけでも、すでに普通の神楽師でないことがわかり、或いは神楽師を標榜《ひょうぼう》して、世を忍ぶやから[#「やから」に傍点]ではないか、そうだとすれば、時節柄、意外の人材が隠れていないものでもない、つきあい様によっては、話しようによっては、存外の得るところがあるかも知れぬ、とにかく、この一行は、いずれはただ者ではないように、この時、兵馬が考えてしまいました。
「そうでしょうとも、神前に奉仕する意味の神楽と、徒《いたず》らに俗情に媚《こ》ぶるみせものの類《たぐい》とは、質を異にせねばなりません。それはそれとしまして、あなた方の御一行のほかの客人は、皆、御存知よりのお方でございますか」
「われわれのほかの一組は――あの婦人の加わっている一行ですな、あれは都合四人とか聞きましたが、ここへ来て初めての知合いです」
話半ばのところへ、久助が入って来ました。
久助は、お雪一行と上野原から来たものですから、本来ならば、あの時分、兵馬を見知っていなければならないので
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