、それほど図々しくはなれなかったのです。ほんののぞき見に、うわつらだけを知らん面《かお》をして見て置く分にはいいとしても、それを二三枚さかのぼって見たことすらが、いくぶん良心が咎《とが》めているのに、尻を据えて、図々しく盗み見をしてやろうなんぞとは、お雪にはできません。そのままにはして置いたが、なんとなく心残りがないではありません。
そこでお雪は、思い出したように兵馬の身の廻りを取りかたづけて、脱ぎっぱなしにしてあった衣類などを畳んでやりました。
それは気のせいばかりではありますまい、お雪のこのごろは、目立って分別の面《おも》だちになりました。誰も気軽にお雪ちゃんとはいえないほどに、老《ふ》けたというではないが、沈んだところがありありと見えます。それも、ただ沈んだのではなく、どうでもなるようにといったような、軽い放任気味が見えないということはない。
着物を畳み終って押入に入れてから、お雪はこの部屋を掃除して上げたがよいか、このままにして置いた方がいいかと、ちょっと考えさせられたようです。あまり要らぬ世話を焼き過ぎてもよくないし、そうかといって、このままに置けば、いつ誰が来て箒《ほ
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