書き方だから失望しました。
 室に置きっぱなして行った、衣服旅装のたぐいといえども、それに準ずるもので、風流や、しゃれや、にやけという気分は微塵《みじん》もなく、質実な武家出の旅の若者のかいがいしい武骨さがあるばかりであります。
 それでもお雪には、なんとなく人懐かしい。ただでさえ人懐かしいと思うところに、新たに来た人といえば、それだけで一層懐かしい。ましてこれはここにいる客人のうちで最も若い人ではあり、その若い人が何の用向か知らないが、今時分、たった一人で、こんなところまで踏み込んだのは、よくよくのことでなければならないし、そのよくよくの場合に病みついたなんぞということは、お雪の感傷的な同情深い女性的の半面を呼び起すにもかなり有力です。
 どうも、済まないような気持になりながら、お雪は、その、開けっぱなしにしてある部分だけでなく、もう二三枚ずつさかのぼって、それを読んでみたい気になりました。
 気になったのではない、もう読んでいるのです。
 しかし、なんらの、そこにセンセーションを呼び起すべき記事を発見することができません。相変らずの棒書きで、小遣帳《こづかいちょう》に毛の生えたよう
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