それは仏頂寺弥助でも、丸山勇仙でもなく、無名沼《ななしぬま》のほとりの、鐙小屋《あぶみごや》の神主が来たのであります。神主は山へ登ることは登るが、ここへ下りて来ることは極めて稀れであります。
 そこで炉辺が、この珍客を迎えて賑《にぎ》わいました。
 炉辺閑談といううちに、ここへ集まる定連《じょうれん》のかおぶれを、ざっと記して置きましょう。
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国学者兼神楽師   池田良斎
その一行      北原賢次
同         村田寛一
同         中口佐吉
同         堤一郎
同         町田政二
俳諧師       柳水
画師        木川宗舟
甲州上野原     久助
同         お雪
山の通人      吉造
山の案内      茂八
温泉留守番     嘉七
猟師        十太郎
同         良太
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 だいたい、こんな面触《かおぶ》れで、定刻に至ると閑談の席が、開かれるのです。
 定刻というのが、必ずしもきまった時刻という意味ではなく、まず退屈の者が二人ばかり炉辺へたかって、火を焚き
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