ころまで、真紅《しんく》の血痕が淋漓《りんり》として漂うのを示しました。
竜之助は眼を据えて、その血の腕を見つめます。
竜之助は白い眼で、それをじっと、暫く見据えていたが、やがて言いました、
「そんな物を、誰に頼まれてひねくり廻すのだ、早く屑屋《くずや》に売ってしまえ」
「屑屋だって買やしませんよ、第一、かかわり合いが怖いって言いますから」
「屑屋も買わないものを、御丁寧に皺《しわ》をのばして、どうしようというのだ」
「こうして置いて、まとめて、地獄へ送って上げようと思います」
「ふふん」
と竜之助があざ笑いました。
この世で屑屋さえ買いたがらないものを、地獄で受取って何にするのだと、口へ出しては言わないで、冷笑を以てむくいました。
「地獄では、こんなのを大変に喜びます」
お浜は負けない気になって、ことさらに誇張したような表情で、そのなかの女の着物、自分がいま着ているのとほとんど同じもの一枚を取り出して、その袖をひろげて、蝙蝠《こうもり》のように竜之助の方に向け、
「ごらんなさい、これは、わたしのでございますよ、この乳の下に大きな穴があいてございましょう、こんなのを着て行くと、
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