て廻ろうというのでもありません。
ただなんとなく、外へ出てみたくなったので、出てみる時に、おのずから足が三階の松の間へ向いました。
あの娘のことが、気になっているのだなと、兵馬は自分ながら気がつきました。
なんとなく、足がそちらへ向いて、明日立つとすれば今晩限りだ、あの娘のところへ行って、一応の暇《いとま》を告げてみたいという気になったのは、自然かも知れません。
そうして静かに兵馬は、廊下を歩んで行ったが、二階のあの角の座敷に行くには、一度、三階へ上って、それから下った方が近路だと気がつくと、そのまま三階へ上ってしまいました。
しかし、まだ名乗り合って近づきもなにもしないのに、突然こちらから訪問するのも無躾《ぶしつけ》ではないか――なあに、先方は来る早々から、あんなに親切にしてくれたのだから、その親切に対しても、一応のお礼は述べに行かなけりゃならん。
そんなふうに、自己弁解をして、三階の廊下を歩んで行くと、行手で、ふっと人の足音がしたものですから、兵馬は戸袋の隅に身をもたせかけて窺《うかが》いました。
誰だろう――暗いところで、音のした方向を見ると、人が一人、すっと出て来
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