の時分から、何かを尋ね尋ねて歩み疲れていた人のようではあった。
 それに気味の悪いあの二人連れの壮士。どちらにしても、会わせないがよい、会わないがよい、というお雪の心づかいは、聡明でした。
 しかるに、この聡明なお雪の心づくしを知るや知らずや、その宵に至ると、例の座敷で、竹調べがはじまり、ついで「鈴慕《れいぼ》」の響きが起りました。
 お雪は、それを聞くと、今晩はあらずもがなだと思いました。
 せめて、あの笛の音が、今いう新来の客人たち、つまり、さいぜんの若い旅のさむらいの人と、それから、どう考えても気味の悪い二人連れの壮士とにだけは、あの笛の音を気取《けど》らせたくないという心が無性《むしょう》にお雪の胸にのぼります。あの笛の音、そこから自分の心づくしがふいになるようではたまらぬ。
 お雪は、その尺八の音に気を揉《も》みましたけれど、尺八の音は、お雪の苦心に頓着なく、冷々亮々《れいれいりょうりょう》として響き渡ります。
 影は隠せば隠せるが、音というものは、隠して隠すわけにはゆかないらしい。

 その尺八の音を聞いた時に、あちらの室にいた仏頂寺弥助が、耳を蔽《おお》うて畳の上に突ッ伏
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