ばるこの白骨の山間《やまあい》まで来たというような結果になっている。
その人は、ことさらに逃げ隠れるという卑怯な振舞はないが、陽《ひ》の目、人の目を、避けることを好んでいるらしく、また、おのずから、それを避けるように出来ている。
お雪は、その人が、こうなるまでの来歴を知らない。知りたいとも思うが、そこを掘ると底知れない暗やみの穴が現われて、自分がその中にまき込まれるように思うから、怖《こわ》くてその蓋《ふた》があけられないような心持でいる。
しかし、その人の魂には、あらゆる創《きず》がついて、そこから血が滲《にじ》み出ているのを、まざまざと見せられる。
容易ならぬ罪業《ざいごう》の人である。
男というものは、閾《しきい》を跨《また》げば七人の敵があるものだという話だが、この人の敵は、七人や八人ではあるまい。
それはどこに、どういう敵を持っているのだかわからないけれども、どのみち、誰にも知られないうちに、あの満身の病根に療養を加えさせて上げたいという、暗示的に来る同情心が、この際、お雪の逸《はや》る心を抑えて、そうして、飛び立つほどに名乗りかけてもみたかった兵馬に対して、一言
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