て、未《いま》だかつて、こうまで無作法になれ親しまれたものはないはずです。
 後ろから不意に目かくしをして、当人の相当に驚き呆れるのを見すました上で、当ててごらんとかなんとかいったり、いわなかったりして後、パーッと蓋《ふた》をあけて納まりをつける新しくもない悪戯《いたずら》。子供の時分なら知らぬこと、無邪気にしても、あんまり人をばかにしている。むしろ乱暴でもあり、無礼でもある。お雪の驚き呆《あき》れて狼狽《ろうばい》するのみならず、その狼狽に、憤慨の勢いを加えたのもぜひがないことです。
「ごじょうだんをなすってはいけません」
 目をおさえられながら、それはむしろ叱責するような声でありましたが、後ろの人はなんにも言わず、まして手を緩《ゆる》めようとも、放そうともしません。多分、面《おもて》には舌を吐いて、ニヤニヤ笑っていることでしょう。
「お放し下さい」
 お雪は烈しく首を振りましたけれど、その押えている手というのが、やさしいいたずらでやみそうなやさしい手ではなく、革のように硬《かた》い、大きな掌で、そのくせ、死人のように冷たい手でありました。
「ほんとに、どなたですか、ごじょうだんをあ
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