がしみったれていると、お角は、やはりあざ笑いを掻《か》き消すわけにはゆかない。
 お角としては、この頃中、とかく、がんりき[#「がんりき」に傍点]が焼きもちを焼きたがるのに、うんざりしないでもありません。
 思い出してみると、あんな男と一時腐れ合ったのは、お角さん一代の不覚だといわれないこともない。あの時、あんなに熱くなったのは、いま考えてみるとお恥かしい。あれは、一つはお絹という大の虫の好かない女と、意気張りのような具合になったから、それで、まあ、ああものぼせて甲州くんだりまで、追いかけてみたというような役廻りではあったが、冷めてみればばかばかしくって、お話にならないという感じがする。
 それにあの時は、本職の方を少し休んで、閑散な身であったから、そこへ多少、魔がさしたのか知れないが、今は痩《や》せても枯れても、一本立ちのお角さんだ。
 がんりき[#「がんりき」に傍点]の奴、その時分とは、こっちの歯ごたえが少し違うものだから、やきもきしている。
 だが、あいつも、あいつだけに、意地の張った男だから、ことに、いつも色男一手専売の気取りで、女ひでりはないような面《つら》をしてるだけに、引
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