け目を見せないところが、可愛いといえば可愛いところだ。ことにその引け目を見せない結び目から、やきもち[#「やきもち」に傍点]がころがり出すなんぞは、いっそう可愛らしいところだ――と、お角がにやりと、小気味のよかりそうな思出し笑いをする。
 なるほど、それはその通りで、がんりき[#「がんりき」に傍点]の野郎、女には飢えていない面をしていながら、やきもち[#「やきもち」に傍点]を焼きたがるものだから、お角から、こう見くびられても仕方のない理由はある。
 お角がことに笑止がっているのは、お角と、駒井甚三郎との間を、がんりき[#「がんりき」に傍点]が、ひどく疑ぐっている。お角は海山千年の代物《しろもの》だし、駒井はああ見えて、あれでなかなかのろい[#「のろい」に傍点]殿様だから、内実はどんなふうにもつれ合っているのだか、その辺は知れたものでない。
 秘密というものは、一つ疑えば、いくつも疑えるものだから、その辺から、がんりき[#「がんりき」に傍点]がいい心持をしていないらしく、時々、両国の控え宅へおとずれて見える時も、どうも気がさして、なんだか、自分のほかに先客がありはしないかとさえ、気が置か
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