もとめてもらった以上は、わたしというものがこのお座敷の御主人なんだから、誰にも遠慮はいらない、片づけて下さい」
「それでも、あれほど頼んでおいでになったのに……」
「くどいねえ、誰が頼んだか知らないが、癇《かん》のせいで、雄猫一匹でも、男と名のつくやつを膝の上に乗せないお角さんだよ、けがらわしい!」
といってお角は、手をのべて蒲団の上の男枕をとるや、力任せに座敷の外へ抛《ほう》り出してしまいました。
そこで、男物のいっさいがっさいをおっぽり出して、いささか溜飲を下げ、お角は床についたが、まだなんだか癪に残るようなものがあって、蒲団から首を出して煙草をのんでおりました。
はてな――この間違いは、間違いとすれば、ばかばかしい間違いだが、いたずらとすれば、かなり念の入ったいたずらだ。お角は癇癪《かんしゃく》半ばに、ふいとこのことを気にしていたのですが、煙草を一ぷくのんでいるうちに気が廻って、ははあ――と、灰吹に雁首《がんくび》をかなり手荒くはたいたものです。
油断が出来ないぞ――それそれ、今日も七里の道中で、誰となく注意をしてくれたものがある。
胡麻《ごま》の蠅《はえ》がついたから御
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