崎譲と別れたお角は、自分の座敷へ入って、寝しなに一ぷくやろうとして、そこで変なものを感じました。
「おや、そそっかしい女中さんだ、何を間違えてるんだろう」
見れば、自分の蒲団《ふとん》には枕が二つ並べてある。しかも、その一つは男物――寝巻までが、ちゃんと二人前揃えてある。
お角はあきれて、せせら笑いながら、一ぷくのみ終って、静かに女中を呼びました。
「姉さん、間違えちゃいけないよ、こっちは独身者《ひとりもの》なんですから」
可愛らしい小女の女中は、そう言われて、いっこうのみ込めず、
「でも、お客様、さっき、あなた様のあのお若い衆さんとは別なお連れだという方が、ちょっとお見えになりまして、おそく帰るかも知れないから、こうしてお床をのべておくようにと、お指図をしておいでになりました」
「冗談《じょうだん》じゃありません、そりゃお門違《かどちが》いですよ」
「それでも、たしかに、こちらへお帰りになるからとおっしゃいました」
「いけない、いけない、戸惑いもいいかげんにしないと罰が当りますよ、かまわないから、片づけちまって頂戴……」
「それでも……」
「遠慮することはないじゃないの、一晩で
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