色物か、真打《しんうち》は――いずれ、聞いたことのない大看板が、イカサマでおどかすものに相違なかろうが、そのうちにもまた、存外の掘出し物が無いとは限らない――お角は掘出し物に、興味と、自信とを持っている。
それは大看板を大看板として、大名題《おおなだい》を大名題として、大舞台で、大がかりな興行をやる分には、面《かお》と資本《もとで》さえあれば誰にもやれる芸当で、本当の興行師の腕とはいえない、誰も知らないものを、誰も知らないところから引抜いて来て、それを養成して、そうして付焼刃《つけやきば》ではないところの本値《ほんね》を見せて、あっといわせるところが、興行師の腕であり、自慢である、と心得ているお角――未《いま》だ知られざる名物を発見しようとする熱心と、炯眼《けいがん》とは、先天的といっていいかも知れない。
だから、ここでも、講釈を聞きに行かないかとすすめられて、打てば響くように、その商売心をそそのかされたものですから、二言《にごん》ともなく、
「行きましょう、行ってみましょう、案内をして下さい」
キリキリと帯をしめ直して、さて、考えたのは、若い衆を連れて行こうか、それとも一人で行
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